2012年10月15日
高齢者糖尿病
高齢者糖尿病 特徴と気を付けていただきたい事
日本の糖尿病患者数は、平成9年には690万人、平成14年は740万人、そして平成19年には890万人と急速に増加しています。新たに糖尿病となった人の多くは男性では40歳以降、女性では60歳以降の方々です。加齢と共に筋肉量が減少し、相対的に内臓脂肪が増加します。そのため血糖を低下させるホルモンであるインスリンの効果が悪くなります(インスリン抵抗性)。またブドウ糖を燃焼する機能も衰えてきます。更にインスリンの分泌自体が減少してきます。それらにより、どうしても加齢とともに糖代謝が悪化して来てしまいます。
高齢者糖尿病には次のような特徴があると言われています。
・比較的簡単に著明な高血糖に陥りやすい。
・高齢になっても細小血管障害は発症進展する。
・動脈硬化性疾患、悪性新生物による死亡が増えている。
・足病変をはじめとする感染症の合併、増悪が予後不良を招く。
・無自覚低血糖が少なくなく、認知機能障害の要因となる。
特に認知症に関しては、糖尿病患者は正常者に比べて1.5倍多いと言われており、
アルツハイマー病では1.5〜2.0倍と言われています。つまり糖代謝異常は脳機能に強く影響し、治療に伴う低血糖のみならず、高血糖でも脳の機能は低下してしまいます。
しかし、昨年、生活習慣病を予防することによりアルツハイマー病を予防することが可能であると発表されました。具体的には
1.喫煙
2.低身体活動
3.低教育水準
4.中年期高血圧
5.糖尿病
6.中年期肥満
7.うつ
の7項目で、これらが関与しているとみられる症例は最大で世界の症例の半数に上ると見積もられています。また,これらの7つの因子すべての影響を25%減らすことが出来れば全世界において300万人のアルツハイマー病を予防できる可能性がある、と報告されました。
教育水準は今更どうにもなりませんが、その他は努力次第で是正が可能なものばかりです。とくに喫煙は肺癌を増加させるだけではなく、心臓病、脳卒中、腎障害、下肢動脈硬化症など全身の臓器、とくに血管に障害を引き起こします。
今、タバコを喫っている方は是非これを機会に禁煙に取り組んでください。
日本人の平均寿命は世界で1〜2を争うほどの長寿です。しかし健康であってこその長寿です。平成22年の統計では平均寿命と健康寿命の差は男性で約9年、女性で約13年と言われています。何とかこの差を埋めるように脳卒中や心筋梗塞、転倒・骨折、認知症などを予防しなければなりません。生活習慣を改めることで、これらの予防が可能となって来ます。
私も今年から高齢者の仲間入りをしました。お互いに頑張りましょう。
和田成雄
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