2010年09月20日
新しい糖尿病の診断基準
新糖尿病診断基準
糖尿病の診断基準は平成22年7月1日より新しく改変されました。概要は次の通りです。
糖尿病はインスリン作用不足による慢性的な高血糖を主徴とする疾患ですので、その診断には慢性高血糖の確認が不可欠です。また高血糖の程度に応じて正常型、境界型、糖尿病型に分けています。
糖代謝異常の判定区分:血糖値を用いた場合、糖尿病型(?空腹時血糖値≧126mg/dlまたは?75g経口糖負荷試験(OGTT)2時間値≧200mg/dl、あるいは?随時血糖値≧200mg/dl)。正常型(空腹時血糖値<110mg/dl、かつOGTT2時間値<140mg/dl)。境界型(糖尿病型でも正常型でもないもの)に分けています。また?HbA1c≧6.1%の場合も糖尿病型と判定します。
臨床診断:詳しい診断手順は表を参照してください。
1.初回検査で上記?〜?のいずれかを認めた場合は「糖尿病型」と判定し、別の日に再検査を行い再び「糖尿病型」が確認されれば「糖尿病」と診断します。1回の採血で血糖値とHbA1cの両方が「糖尿病型」を示せばそれだけで「糖尿病」と診断することが出来ます。
2.糖尿病の典型的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)が存在するか、または確実な糖尿病網膜症が存在すれば、血糖値が「糖尿病型」を示す(?〜?のいずれか)だけで「糖尿病」と診断することが可能です。
3.過去に上記1.または2.の条件が満たされていたことが確認できる場合は、現在の検査結果にかかわらず、糖尿病と診断するか、糖尿病の疑いを持って対応する、とされています。即ち、一旦糖尿病と診断されれば、その後血糖値が改善しても糖尿病であることには変わりがない、ということです。
成因分類:糖尿病はその成因によって次のように分類しています。
1型糖尿病:主に自己免疫を基礎にした膵β細胞の破壊性病変によりインスリンの欠乏が生じて発症する糖尿病です。自己抗体の証明できる「自己免疫性」と、証明できない「特発性」に分けますが、いずれの場合も破壊が進行してインスリンの絶対的欠乏に陥ることが多く、あらゆる年齢層に起こり得ます。
2型糖尿病:インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす複数の遺伝因子に、過食(特に高脂肪食)・運動不足などの生活習慣、およびその結果としての肥満が環境因子として加わりインスリン作用不足を生じて発症する糖尿病です。糖尿病の大部分がこれに属し、多くは中年以降に発病しますが、最近では小児・若年者にもこの型の糖尿病が増えています。
特定の原因によるその他の型の糖尿病:次の2つの群を区別しています。
(A)遺伝因子として遺伝子異常が同定された糖尿病。
(B)他の疾患、病態(内分泌疾患、肝臓疾患など)に伴う種々の糖尿病。
妊娠糖尿病:妊娠中に初めて発見または発症した糖代謝障害で、診断基準は別に定めています。